日本退職公務員連盟の会員の皆様へ
第6回は、「基礎年金の拠出期間の延長」、「第3号被保険者制度」について、わかりやすく解説します。
先ず、「基礎年金の拠出期間の延長」についてです。この拠出期間を20歳から60歳までの40年間と定めたのは、基礎年金の前身の国民年金法が施行された昭和36年に遡ります。それから60年余の時を経て、健康寿命の伸びや就労年齢の伸び等を考えると、5年の延長は必要だと考えます。このことは、昨年当連盟が関係大臣や自民党に要請した「緊急要望」に「基礎年金の拠出期間延長等を実施し 基礎年金の給付水準の底上げを図るとともに 国庫負担相当分の財源を確保されたい」としています。厚生労働省は、法案の検討過程において、「拠出期間の延長により、保険料負担が100万円(月額17,000円×60月=1,020,000円)を超える」という批判が多くあるとして、早々に法案に盛り込むことを断念したのですが、当連盟は、拠出期間の延長は、前述した経年変化等を踏まえると必要であり、将来の年金額増に繋がることから、今後も引き続き検討するよう要望したものです。 また、令和6年12月25日に社会保障審議会年金部会がまとめた「社会保障審議会年金部会における議論の整理」において、「健康寿命の延伸や高齢者の就労進展等を踏まえると、基礎年金の拠出期間延長は、基礎年金の給付水準の向上を確保するために自然かつ有効で意義のある方策であると考えられる。引き続き、議論を行うべきである。」としました。 この事項は、国会の修正議論でも議題となり、令和7年年金改正法の附則に次の検討規定が設けられました。
(検討等)
第二条(1、2、4略)
3、政府は、高齢者の就業の実態等を踏まえ、将来の基礎年金の給付水準の向上等を図るため、所要の費用を賄うための安定した財源を確保するための方策も含め国民年金法第七条第一項第一号に規定する第一号被保険者の被保険者期間を延長することについて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 このように、当連盟が要請した内容が、法案修正により、附則に検討規定が設けられたものです。
次に、「第3号被保険者制度」についてです。
資料解説:「第3号被保険者制度の導入の経緯」についてです。
現在の基礎年金制度が施行された、昭和61年4月までは、国民年金と厚生年金とは、別々の制度として運用されていました。資料の下の図のように、厚生年金は大まかにいうと、サラリーマンが加入して、一階部分(定額部分)と2階部分(報酬比例部分)の額に、年金の扶養手当ともいうべき加給年金を加えた年金額でした。他方、国民年金は、自営業者の年金として、一定額に加入期間を乗じた年金額でした。このように、厚生年金は、世帯単位の給付設計になっていましたので、妻は国民年金には強制加入とせず、任意に加入できることとされていました。その結果、妻が国民年金に任意加入した場合には、夫婦2人分の水準である厚生年金に加えて、妻の国民年金が支給されるという仕組みでした。その後、昭和60年の年金改正により、全国民共通の基礎年金制度が設けられた際に、サラリーマン世帯の専業主婦についても第3号被保険者として強制加入の対象とし、図の右のように、自分名義の年金を受けられることとされました。その際、健康保険の被扶養者と同様に独自の負担を求めないこととし、基礎年金給付に必要な費用は、厚生年金の加入者数に応じて厚生年金全体で負担することとされました。その後、女性の働き方やライフスタイルの変化等に伴い、第3号被保険者制度の見直しについて、関係審議会で様々な議論が行われてきましたが、今回の改正では成案が得られませんでした。このような状況の下、社会保障審議会年金部会は、「議論の整理」において、「本部会としては、第3号被保険者をめぐる論点についての国民的な議論の場が必要であるとの認識を共有した。政府に対して、適用拡大を進めることにより、第3号被保険者制度の縮小・見直しに向けたステップを着実に進めるとともに、第3号被保険者の実態も精緻に分析しながら、引き続き検討することを求める。」とし、その際、年金部会で検討を積み重ねてきた、様々な議論の成果が、今後の議論に資することを期待するとしています。 これらを踏まえ、今回の年金法改正では、改正法附則に次の検討規定が設けられました。
(検討等)
第二条(1~3略)
4、政府は、第三号被保険者の在り方について国民的な議論が必要であるという認識の下、その議論に資するような第三号被保険者に実情に関する調査研究を行い、その在り方について検討を行うものとする。
今回の年金改正法に関する解説は、今回で終了です。 今後は、年金に関する質問や意見にできる限り対応していきたいと思います。質問、意見をお待ちしています。
【本ページで解説した資料のPDFです。各支部での共有等でご利用ください。】
■第6回:年金改正法わかりやすく解説資料