日本退職公務員連盟の会員の皆様へ
第4回は、「遺族年金の見直し」、「子にかかる加算」について、資料(P29~42)に沿ってわかりやすく解説します。
P29解説:「遺族年金の見直し」とありますが、遺族年金の内容について順次説明します。
P30解説:「遺族年金とは?」とありますが、遺族年金はどういうときに、誰に支給されるかについて説明します。図の左に会社員(第2号被保険者)が亡くなった場合が書かれていて、図の右に支給される年金について書かれています。遺族年金の役割は、亡くなった人に生計を頼っていた人の生活を保障するためのものです。この図の場合は、亡くなった人は、会社員でしたから、1階部分の基礎年金と2階部分の厚生年金の両方について、要件を満たせば年金が支給されることになります。右の図の下段に、「残された遺族で最も優先順位が高い人が受給」とありますが、後述するように、遺族には優先順位が定められていますので、その順位に基づいて年金が支給されます。
P31解説:では、「遺族年金は誰がもらえる?」についてです。その条件は、亡くなった人に生計を頼っていた人に限定され、その中でも保障の必要性が高いと考えられる順に順位が定められています。遺族厚生年金の場合は、図の左にあるように ①こども(18歳未満または障害のある20歳未満のこどものことです。以下同じ。)のいる妻またはこどものいる55歳以上の夫 ②こども ③こどものいない妻またはこどものいない55歳以上の夫 ④55歳以上の父母 ⑤孫⑥55歳以上の祖父母、の順になっています。また、遺族基礎年金の場合は、右の図のように、①こどものいる配偶者、②こども、の順になっています。
P32解説:次に、「遺族年金はいくらもらえる?」についてです。P30と同様に、会社員が亡くなったケースで、状況は、①妻と2歳のこどもがいる、②年齢は30歳、③厚生年金の加入は8年間、④これまでの平均収入は35万円、の会社員が亡くなった場合の遺族厚生年金の額は、右の図のように計算されます。先ず、加入期間は8年ですが、25年加入したものとみなされ、平均収入35万円×25年×3/4=年431,600円、遺族基礎年金の額は、定額の基本年金額(2024年度)816,000円+子に対する加算額年234,800円(2024年度)=年1,050,800円となり、遺族厚生年金との合計金額は、年1,482,400円となります。
P33解説:「遺族基礎年金とは」についてです。遺族基礎年金を受け取る要件は、亡くなった人が、保険料納付などの要件を満たしていれば、その遺族が受け取ることが出来ます。その内容は、図の左に書かれていますが、①国民年金加入中に死亡した ②65歳以上65歳未満の人で、日本国内に住所があり、過去に国民年金に加入していた(一定の納付要件を満たす必要があります) ③保険料納付・免除した期間が合計25年以上ある、のいずれかに該当することです。その年金を受け取ることが出来る遺族は、P31の説明と重複しますが、図の右にあるように、①こどもがいる妻または夫 ②こども、です。①、②は、①を優先して支給します。その間は、こどもの遺族基礎年金は支給停止されます。②のこどもが年金を受け取れるケースは、生活を共にしている父母がいない(いなくなった)場合に限られます。
P34解説:「遺族厚生年金とは」についてです。遺族厚生年金を受け取る要件は遺族基礎年金と同様に、亡くなった人が定められた要件を満たしていれば、その遺族が受け取ることが出来ます。その内容が、図の左に書かれていますが、①現役会社員が死亡した ②病気やけがで会社を辞めた後5年以内に死亡した ③障害厚生年金(1または2級)を受けていた ④保険料を納付・免除した期間が25年以上ある、のいずれかに該当することです。その年金を受け取れる遺族は、これもP31の説明と重複しますので、省略しますが、優先順位があることに注意が必要です。
P35解説:「遺族厚生年金の改正で何が変わる?」についてです。こどもがいない60歳未満の人の場合、図の上段の改正前は、配偶者の死亡時点で、30歳未満の妻は、5年の有期給付となりますが、30歳以上なら終身の給付となります。これが、夫の場合は、配偶者の死亡時点において、55歳未満であれば、受給の権利が発生しません。死亡時点で55歳以上の場合には、60歳以降終身の給付となります。 このように、遺族厚生年金は、家計を支える人が死亡した場合に、残された遺族の所得保障を行う制度ですが、現行の制度は、男性が主たる家計の担い手であった時代の給付設計のままになっており、男女がともに働くことが一般化している今の時代に合うような見直しが必要ということで、改正が行われました。 その内容は、図の下段のように、様々書いてありますが、基本的には、60歳未満の時に配偶者が亡くなった場合には、男女ともに、5年の有期給付とされました。この場合にも配慮措置がいくつか用意されています。その配慮措置については次のページで解説します。
P36解説:「こどもがいない60歳未満の妻・夫の遺族厚生年金」についてです。図の左に改正前の状況が書かれていますが、これは、前ページで解説しましたので省略します。図の右の改正後は、60歳未満の妻・夫に対し、①有期給付の増額や配慮措置 ②死亡分割により老齢厚生年金が増額③現在生計維持要件として設けられている年収850万円の廃止 ④配慮が必要な場合には5年目以降も給付を継続、などが実施されます。
P37解説:この配慮措置の改正の趣旨について、「こどもがいない60歳未満の妻・夫の遺族年厚生年金」に書かれていますが、近年の男女の就労状況に鑑み「男女差を解消することを目的」としています。内容は、前ページで説明しましたので、省略しますが、65歳以上に設けられた「死亡分割」に着目です。亡くなった配偶者の方の報酬が高かった場合には、その配偶者の厚生年金の記録を分割して、遺族の記録に上乗せし、65歳到達後の年金額を増額するというものです。
P38解説:「遺族基礎年金を受け取るこどもが増えます」についてです。 図表の上から2段目にあるように、これまでは、こどもの生計を維持している配偶者が、遺族基礎年金を受け始めた後、再婚した場合にはこどもも受ける権利を失うこととなっていましたが、今回の改正では、この場合にもこどもが遺族基礎年金を受け取れることとされました。このほかにも、表にあるように従来は受け取れなかったケースでも受け取れるよう改正がなされました。
P39解説:「子にかかる加算」についてです。子にかかる加算とは、給料などで支給される「扶養手当」の年金版のようなものです。この加算について見直しがされました。
P40解説:「こどもがいる場合の加算の見直し」についてです。 年金には、給料と同じようにこどもを養育している年金受給者に対し、年金額を加算する仕組みがあります。今回の改正では、この額を引き上げるとともに、支給対象者の範囲を広げることとされました。図にあるように、支給対象となる年金が拡大され、老齢基礎年金、障害基礎年金(1級、2級)、遺族厚生年金に新設されます。
P41解説:「こどもがいる場合の加算額を引き上げます!」についてです。 従来の加算額は、第1子、第2子は、年額234,800円、第3子は年額78,300円でしたが、改正後は、1人につき、一律に年額281,700円に引き上げられます。
P42解説:「万一のとき受け取ることができる年金額が手厚くなります」についてです。 こどもの加算の引き上げによって、配偶者とこども3人を残して亡くなった、「想定ケース」の場合には、改正前の年額1,363,900円が、改正後は年額1,661,100円に引き上げられ、その結果、年額297,200円(月額24,767円)の増額となります。
【本ページで解説した資料のPDFです。各支部での共有等でご利用ください。】
■第4回:年金改正法わかりやすく解説資料